もしあなたが悩んでいたり、不安を抱えていたり、怒っていたり、喜んでいたり、泣いていたり、悲しんでいたりした時に、あなたに「どうしたの?」と語りかけてくれる人がいたら、あなたはどう感じますか?
あなたが「実はね…」といって話しはじめた言葉を、最後までずっと優しい表情で、適度な相槌を打ちながら聞いてくれる人がいたら、あなたはその人にどのような感情を持ちますか?
きっとあなたはその人に好感を抱くでしょう。なぜなら、その人はあなたの話にきちんと耳を傾け、あなたの存在を受け入れ、認めてくれるからです。
人は自分の中で抱えられないことがあると、誰かに話を聞いてもらって心の負担を減らそうとします。王様の耳はロバの耳という物語がありましたよね。あれと同じなのです。
プラスの感情もマイナスの感情も、あふれるほどたくさん心に溜まってしまったなら、人はそれを会話にして外に押し出します。それが出来なければ、そのような感情がたまらないように、心を閉ざし、感情にふたをしてしまいます。そして、何も話そうとはしなくなり、また何も聞こうともしなくなってしまいます。
あなたが誰かに何かを話したいと思ったとき、相手がいつも話を聞いてくれるとは限りません。たまたまタイミングが悪かったという場合もありますし、相手の都合もあります。
けれども、そのようなことが何度も繰り返されたら、あなたはその人に話しかけることはやめるかもしれません。自分の存在を受け入れてもらえないと悲しくなり、心を閉ざしてしまうかもしれません。
例えば、小さな子供がお父さんやお母さんと会話がしたくて「あのね…」と話しかけても、「忙しい」のひとことで拒否をされたなら、その子はお父さんやお母さんに自分という存在を受け入れてもらえないと思い、心を閉ざしてしまうかもしれません。
自分の言葉を受け止めてもらえなければ、誰も自分を理解しようしてくれないと思ってしまい、自分に対して誰も話しかけてくれなければ、誰も自分を必要としてくれていないと思ってしまうかもしれません。
あなたが誰かに話を聞いてもらいたいと思ったなら、まずあなたが相手の話を聞こうとしてみましょう。相手もあなたと同じくらい、誰かに話を聞いてもらいたいと思っていて、その相手を探しているのです。
そうすればきっと、相手もあなたの話をしっかりと聞いてくれるようになりますよ。